魅力度ランキングといじめ
意識高い系バカです。
都道府県別の魅力度ランキングが発表され、群馬県知事が法的措置を取ると息巻いていますが、知事への賛否は置いといて、最初に
「魅力度ランキングはそもそも魅力を表しているのか」
考えていきたいと思います。
そんなわけで調べてみました。魅力度ランキングを発表しているブランド総合研究所のHP。
これを読む限り
俺はこのアンケートで魅力度を測れない
という考えに至りました。
ここで魅力度を含むこの会社の地域ブランド調査の項目を確認していきます。
『
●認知度
「以下の自治体について、どの程度ご存知ですか」という問いに対して、「よく知っている」を100点、「知っている」を75点、「少しだけ知っている」を50点、「名前だけは知っている」を25点、「名前も知らない」を0点として、それらを加重平均して点数を算出した。
認知度=100点×「よく知っている」の%+75点×「知っている」の%+50点×「少しだけ知っている」の%+25点×「名前だけ知っている」の%
●魅力度
「以下の自治体について、どの程度魅力を感じますか」という問いに対して、「とても魅力的」を100点、「やや魅力的」を50点、「どちらでもない」と「あまり魅力を感じない」、「全く魅力的でない」をいずれも0点として、それらを加重平均して点数を算出した。なお、認知度の設問において、当該自治体を「名前も知らない」と答えた人も0点とした。
魅力度(点)=100点×「とても魅力的」の%+50点×「やや魅力的」の%
●観光意欲度
「今後、各自治体に観光や旅行に行きたいと思いますか」という問いに対して、「ぜひ行ってみたい」を100点、「機会があれば行ってみたい」を50点、「どちらともいえない」と「あまり行きたいとは思わない」を0点として、加重平均した数値を算出した。なお、本設問で無回答のものについては0点とした。
観光意欲度(点)=100点×「ぜひ行ってみたい」の%+50点×「機会があれば行ってみたい」の%
●地域資源評価
「それぞれの市区町村にはどんな魅力があると思いますか」という問いに対して、「海・山・川・湖などの自然が豊か」、「食事がおいしい」など17項目ごとに選んだ回答者の割合(%)を算出した。なお、項目ごとに「自然資源」、「歴史資源」、「モノ資源」、「サービス資源」に集約した。
地域資源評価(点)=各資源ごとに項目の%の合計を偏差値化』
(https://news.tiiki.jp/articles/4700 より引用)
認知度は知っているか知らないかの明確な基準が存在しているため、感覚に頼る設問でも問題いありません。
他にも、観光意欲度の場合は「観光」に観点を絞った設問となっています。
しかし、魅力度だけは何が基準で何を比べているのか個人でバラバラすぎます。
住みやすいことを魅力に感じるのであれば東京でも地域格差は存在するし、関東平野の住みやすさは北関東でも大きく変わらないですよね。
観光が魅力的なら雪国などの不便さは減点されないことになります。
少なくとも同じ県の中でも特色は存在します。
例えば、
「札幌と十勝」
「23区とそれ以外」
同じ地域でも大きく違うことがわかります。
つまり、魅力度に関しては何が基準かわからないからどこが評価されているのかがわからないのです。
例えば、「魅力度は住みやすさと観光の総合点だ」という定義がされていればTOEICのリーディングとリスニングのようにどの分野が低いから点数が低いということがわかります。
しかし、ブランド総合研究所は「魅力度」を十分な定義をせずにアンケートを取ったためその自治体の何がいけないのかがわかりません。
曖昧な定義で出発しているため今確かなのは
「各個人が考える魅力度の優劣」です。
なのでランキング自体に大きな問題はなく、
「このランキングが絶対的な魅力度の優劣を示している!」
みたいに騒ぐ報道の姿勢に問題があります。
今年のランキングでは茨城と群馬の各知事の発言が話題になっていますね。
しかし、ランキング自体がそもそも大して相手するものではないのです。
あくまでもある企業の一つの設問の結果なだけですから。
しかし、これを全国放送で流すとどうなりますか?
悪意はなくとも「これが絶対的な結果」と思い込む人が多くなります。
ちょっと前に美人ランキングみたいなやつでもあるおじさんの個人的ランキングを大々的に報道していましたが、メディアはすこしくらい情報の精査をしませんか?
魅力がない県として認識されたらそこから出てきた人は聞かれますよね。
「○○さんの出身のところ魅力度低かったよね~」って
聞かれた方は気持ちいい訳ないじゃないですか。
どんなド田舎でもその人が生まれ育った地域ですよ。
仮にそこで魅力を語っても、何を言っても、
強がっているようにしか見えないという悲しい事態です。
これをたくさんの人から言われる自治体関係者の心労は半端ないですよね。
「ネタのランキングに何言ってるんだ」と思いますけどそのネタはネタじゃないんですよ。人によっては。
ここまで書いたら何かの構図に似てることはわかりますよね。
いじめです。
元々、東京の番組の地方いじりは度を超えたものがあります。
例えば「ケンミンShow」
この番組の東京至上主義はえげつないです。
地方のごく一部の文化を「○○県民はーーー」のくくりで発表し、時には気持ち悪がる。
とくに北関東出身の芸能人にそれぞれの県で競わせているときの構図はクラスのカーストそのものです。
東京は殿堂の先輩みたいな扱いで、北関東の内輪でマウントの取り合いをする。時には南関東の県にかみつき結局言い伏せられる。
最悪ですよあの関係性。
一番ひどいのは訛りをいじることです。
前にテレビによく出ていた王林ちゃんは訛りがかわいいということもありバラエティ番組に多く出演していましたが、字幕が必ず変な形になっていることを嫌がり、方言を抑える方向に進みました。
正直、面白おかしいと思うことは否定しません。意味さえ理解できない方言もたくさんあります。しかし、思うことと行動に表すことは違います。彼らは「普通に話しているだけ」です。
環境が違う故の違いを本人の目の前でバカにするいじめそのものをしています。
同様に曖昧な魅力度ランキングの下位の自治体をいじるということは具体的な批判ではなく、とりあえず馬鹿にしてるだけでしかないです。
やるなら具体的な改善案を持ち込み議論するという内容ならいいのかもしれません。
(魅力度が具体的な定義がされていれば)
ガチギレをNGとすると県民も自虐的になるか気にしないかの二択です。
なんで知らん奴に決められたランキングで自虐的になる必要があるんですか?
全国放送をするとどうでもいいわけではないと思います。
少なくとも当事者ではない人が「自虐ネタにすれば?」はおかしいです。
結論。
- ランキングの「魅力度」の定義自体が曖昧
- 該当ランキングを絶対的な順位として扱う報道姿勢が問題
- ランキングが地域をいじめるのに利用されている
これらがこのランキングを取り巻く環境の問題です。
この記事は該当ランキングを制作したブランド総合研究所を非難するものではありません。
同じ日本の地域をバカにしといてよく同じ口でSDGsとか言えますね。
世界の平等を考える前に自分の心の中の無自覚な差別意識を認識することから始めてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。